やさしい空間のきほん 計装・業務改善

第11章 熱はどこで空気と出会う?

本ページにはプロモーションが含まれています

前の章では、熱は配管の中を旅していることを学びました。 熱源設備を出発した熱は、水に乗って建物の中を移動しています。

しかし、熱は配管の中を流れているだけでは意味がありません。 人が感じるのは水ではなく空気だからです。

では、配管の中を旅してきた熱は、どこで空気へ受け渡されるのでしょうか。

考えてみよう

冷水配管の中には冷たい水が流れています。 でも、配管の中の水だけが冷たくても、部屋は涼しくなりません。

同じように、温水配管の中だけが暖かくても、部屋は暖まりません。

どこかで 熱を空気へ渡す場所 が必要なのです。

水だけでは人は快適になれない

水は熱を運ぶのが得意です。 しかし、人の近くまで水を送るわけにはいきません。

もし事務所の机の横を温水が流れていても、それだけでは快適にはなりません。

熱は最後に 空気へ渡される 必要があります。

熱の乗り換え駅

熱の旅を電車に例えてみましょう。

  • 熱源設備は出発駅
  • 配管は線路
  • そして、水から空気へ乗り換える駅がある

それが AHU(空調機)・FCU(ファンコイルユニット) です。

ここで熱は「水という乗り物」から「空気という乗り物」へ乗り換えます。

熱はどこで受け渡されるのだろう

AHU・FCUの中には、冷水や温水が流れる部分があります。 水と空気が直接混ざることはありませんが、熱だけが受け渡されます。

この熱の受け渡しを行う部分を 熱交換器(コイル) と呼びます。

難しい仕組みを覚える必要はありません。 まずは「水と空気が熱をやり取りする場所」と考えておきましょう。

冷房のとき

冷房では、部屋の空気は熱を持っています。 一方、冷水は熱が少ない状態です。

そのため、

  • 熱は空気 → 水へ移動する
  • 熱を失った空気は冷たくなる

だから部屋は涼しくなるのです。

暖房のとき

暖房では逆です。

  • 温水は熱をたくさん持っている
  • その熱が空気へ渡される
  • 暖かくなった空気が吹出口から部屋へ送られる

私たちはその空気によって暖かさを感じています。

ここがポイント

AHU・FCUは、水の熱を空気へ受け渡す設備である。

alt="AHU・FCUが水の熱を空気へ受け渡す様子を示すイメージ図。青い冷水と赤い温水がコイルを通り、風が温度を変えて出ていく。"

AHU・FCUの役割

新人の頃は、AHU・FCUを見ると「風を出す機械」に見えるかもしれません。 確かに間違いではありません。

しかし、もっと大切な役割があります。

熱を受け渡すことです。

風を送ることよりも、熱を移動させることが主役なのです。

現場で考えてみよう

現場でAHU・FCUを見たら、こんなことを考えてみましょう。

  • どんな水が入っているのだろう
  • どんな空気が出ていくのだろう
  • ここでどんな熱が移動しているのだろう

そんな見方ができると、機械の役割が急に分かりやすくなります。

ベテランは何を見ている?

ベテランは、AHU・FCUそのものではなく 熱の受け渡し を見ています。

  • この空気は何度だろう
  • この冷水は何度だろう
  • どれだけの熱が移動しているだろう

そんなことを考えています。

だから機械単体ではなく、設備全体がつながって見えるのです。

現場で一番大切なこと

AHU・FCUなどの空調機器を見るときは、風を見るだけでは不十分です。

その風に、

  • どんな熱が乗っているのか
  • どこから来た熱なのか
  • どこへ向かう熱なのか

そう考える習慣をつけましょう。

この章で覚えておきたいこと

  • 水だけでは人は快適になれない
  • 熱は最後に空気へ渡される
  • AHU・FCUは熱の受け渡しをする設備である
  • AHU・FCUは熱の乗り換え駅である
  • 水は運ぶ役、空気は届ける役

次の章へ

ここまでで、熱は

  • 熱源設備で生まれ
  • 配管を通り
  • AHU・FCUで空気へ渡される

ことが分かりました。

では、空気へ渡された熱はどうなるのでしょうか。 部屋の中では、熱はどのように動いているのでしょうか。 そして、なぜ同じ部屋なのに暑い場所と寒い場所ができるのでしょうか。

次の章では、「熱はどうやって人まで届く?」 について考えていきます。

◀ 前の10章を読む

▶ 次の12章を読む

-やさしい空間のきほん, 計装・業務改善