私たちの身の回りには、自動で動く設備が数多くあります。
エレベータはボタンを押せば目的の階へ向かい、エスカレータは乗るだけで運転を続けます。空調は室温に合わせて自動で運転を調整し、照明やセキュリティ設備も状況に応じて動作しています。
私たちは普段、その仕組みを意識することはほとんどありません。
しかし設備は、自分で考えて動いているわけではありません。
温度や人の動き、圧力や流量などの状態を読み取り、その情報をもとに「今どう動くべきか」を判断しています。
この『情報を集める』『判断する』『自動で動かす』仕組みを作る技術が計装です。
設備の状態を読み取り、安全・快適・効率的に動かすための技術です。
計装は『情報で設備を動かす』技術
設備を自動で動かすためには、まず正しい情報が必要です。
例えば空調設備なら、
- 今の温度は何度か
- 湿度はどれくらいか
- 人がいるか
- 外気温は何度か
これらの情報を常に集めています。
そして集めた情報をもとに、
- 冷房を強くする
- 送風量を調整する
- 運転を停止する
といった判断を行います。
計装は、この「情報を集める仕組み」と「動きを決める仕組み」の両方を扱う技術です。
設備が自動で動くために必要な3つの技術
設備を自動で動かすためには、
- 状態を知る
- 情報を伝える
- 動作を決める
という流れが必要です。
計装は、この仕組みを支えるさまざまな技術を組み合わせて成り立っています。
ここでは分かりやすく、
- 通信
- 電気
- 制御
の3つに分けて見てみましょう。
通信工事(情報を伝える)
温度や湿度などの情報を制御装置へ伝えたり、設備同士が情報をやり取りしたりするための仕組みです。
- 温度・湿度・圧力センサー
- RS485
- BACnet
- Modbus
- LANネットワーク
などを使い、設備同士が情報をやり取りできる環境を作ります。
これは設備の神経網とも言える部分です。
電気工事(設備を動かす)
どれだけ優れた制御システムでも、電源がなければ設備は動きません。
- 制御盤への電源供給
- モーターやバルブへの電源配線
- 電線管やケーブルラックの施工
など、設備を動かすための基盤を構築します。
制御(動きを決める)
計装の中心となる分野です。
- センサーで状態を測る
- DDCやPLCで判断する
- モーターやバルブを動かす
いわゆる
「計測 → 判断 → 制御」
の部分です。
設備の状態に合わせて最適な動作を決めることで、省エネや快適性、安全性を実現します。
ITが情報を扱うなら、計装は情報で設備を動かす
ITはデータや情報を扱う技術です。
一方で計装は、情報を利用して現実の設備を動かします。
- センサーで情報を集め
- ネットワークで伝え
- プログラムで判断し
設備を動かす。
そのため計装には、
- 電気
- 通信
- ネットワーク
- プログラム
- 制御
といった幅広い知識が必要です。
計装はひとつの専門分野ではなく、それらを組み合わせて設備全体を動かす総合技術なのです。
計装工事は『設備の総合職』
空調、照明、セキュリティ、衛生設備、中央監視設備。
建物の中にはさまざまな設備があります。
計装は、それらを個別に扱うのではなく、設備同士をつなぎ、建物全体が安全で快適に動く仕組みを作る役割を担います。
センサーで状態を把握し、ネットワークで情報を伝え、プログラムで判断し、設備を動かす。
電気・通信・制御を横断しながら、自動で動く設備を支える。
それが計装という仕事です。
ITが情報を扱う技術なら、計装は情報で現実世界を動かす技術です。
自動で動く設備の裏側を見てみませんか?
この記事では、計装を「情報で設備を動かす技術」として紹介しました。
では、その仕組みを作っている計装屋は、実際にどんな仕事をしているのでしょうか。
建物が自動で動く裏側には、多くの人の技術と工夫があります。
興味を持った方は、計装屋の1日を紹介したこちらの記事もぜひご覧ください。
計装の全体像をもっと分かりやすく
「計装って結局どんな仕事?」 「どこで使われているの?」 そんな疑問を、図解でやさしくまとめました。