ここまで学んできた
- 温度
- 水分量
- 湿度
- 結露
- 外気
これらの話は、すべて 空気線図でひとつにまとめて表すことができます。
空気線図は難しそうに見えますが、 実際に「見る」ことはとてもシンプルです。
まずは、 空気を1つの点として置くところから始めましょう。
以下の Step ファイルを参照しながら進めると、 空気線図の理解がぐっと深まります。
Step1 今の空気を探してみよう
空気線図もどきでは、まず「空気を1つの点として置く」ことから始めます。
今回は
- 25℃
- 60%
の空気を例にします。
空気線図もどきの中で、
横軸25℃と湿度曲線60%の交わる場所に点を打ちます。 [動く空気線図もどき (step1) | PDF]
これが 今の空気の位置=空気の状態 を表す点です。
この点から読み取れること
- 温度 (横軸)
- 湿度 (曲線)
- 水分量=絶対湿度(縦軸)
- 露点温度(左端の赤い曲線)
※この赤い曲線より左側に入ると結露します。
空気線図もどきは、 温度 × 湿度 × 水分量 × 露点 をひとつの点からまとめて読み取れる「空気の地図」です。
ここがポイント: 空気は「1つの点」で考える
まずは、この『点を置く』ことが空気線図の第一歩です。
Step2 冷やすとどうなる?
STEP2-1 空気を冷やす
25℃・60%の空気を冷やします。
すると点は左方向へ移動します。 [空気線図もどき (step2-1) | PDF]
起きていること
- 温度が下がる
- 水分量は変わらない
- 空気が持てる水分の『許容量(空気の器)』が小さくなる
- その結果、相対湿度が上がる
ここがポイント: 冷やしただけでは、水分はまだ減らない

STEP2-2 露点に達する
さらに冷やしていくと、
露点温度(約16.7℃)に到達します。 [空気線図もどき (step2-2) | PDF]
起きていること
- 相対湿度100%(空気の器が満杯)
- 空気が水分を持ちきれなくなる
- 結露が始まる
ここがポイント: ここが結露のスタート地点

STEP2-3 さらに冷やす
露点を過ぎてさらに冷やします。
すると余った水分が水滴になります。 [空気線図もどき (step2-3) | PDF]
起きていること
- 水蒸気が水になる
- ドレンとして排水される
- 水分量が減る
- 点は下方向へ動く
ここがポイント:これが除湿

STEP2-4 温め直す
除湿した空気を温め直します。
点は右方向へ移動します。 [空気線図もどき (step2-4) | PDF]
起きていること
- 温度が上がる
- 水分量は変わらない
- 湿度が下がる
(同じ水分量でも、温度が上がると湿度%は下がる) - カラッとした空気になる
ここがポイント: 除湿後に暖めると快適な空気になる

Step2まとめ
除湿とは、空気を冷やして結露させ、発生した水を捨てる操作のことです。
空気線図もどきでは、点が次のように動きます。
① 冷やす(点が左へ) ② 結露する(露点に到達) ③ 水を捨てる(点が下へ) ④ 温める(点が右へ)
この4ステップが「除湿の基本の流れ」です。
今回の例では、 25℃・60%の空気を14℃まで冷やして除湿し、25℃まで再熱することで、湿度は60% → 50%に下がりました。
つまり、 『冷やすだけでは湿度は下がらず、 結露させて水分を捨てて、最後に温めることで湿度が下がる』 という除湿の本質が、この点の動きで見えるようになります。
Step3 外気を入れるとどうなる?
夏の場合
夏の外気は、
- 暑い(温度が高い)
- 水分が多い(絶対湿度が高い)
という特徴があります。 [空気線図もどき (step3-1) | PDF]
■ ここで具体例を見てみましょう。
例:室内 25℃・60% / 外気 30℃・60%
一見すると湿度%は同じですが、 空気線図もどきで点を置くと 外気のほうが上(=水分量が多い) 位置になります。
つまり、
- 温度が高い(右へ)
- 水分量が多い(上へ)
→ 外気の点は 右上 にあります。
この外気を室内に入れると、 室内の点も 右上方向へ引っ張られる 形になります。
■ 起きていること
- 温度が上がる(右へ)
- 水分量が増える(上へ)
- ムシムシした空気になる
ここがポイント
夏の外気は「熱」と「湿気」をそのまま室内に運んでくる。
湿度%が同じでも、外気のほうが水分量が多い場合は、 入れると室内は『より湿った方向』へ動きます。
冬の場合
冬の外気は、
- 冷たい(温度が低い)
- 水分が少ない(絶対湿度が低い)
という特徴があります。 [空気線図もどき (step3-2) | PDF]
■ ここで具体例を見てみましょう。
例:室内 25℃・60% / 外気 10℃・60%
湿度%は同じ60%ですが、 空気線図もどきで点を置くと 外気のほうが下(=水分量が少ない) 位置になります。
つまり、
- 温度が低い(左へ)
- 水分量が少ない(下へ)
→ 外気の点は 左下 にあります。
この外気を室内に入れると、 室内の点も 左下方向へ引っ張られる 形になります。
■ 起きていること
- 温度が下がる(左へ)
- 水分量が減る(下へ)
- 乾燥しやすくなる
ここがポイント
冬の外気は「冷気」と「乾燥」をそのまま室内に運んでくる。
湿度%が同じでも、 外気のほうが水分量が少ない場合は、 入れると室内は『より乾いた方向』へ動きます。
■ 現場で考えてみよう
- 夏に外気をたくさん入れると空調機の除湿負荷が増える
- 冬に外気をたくさん入れると室内が乾燥しやすい
Step3 まとめ
外気を入れると、室内空気は外気の影響を受けます。
つまり、
- 夏は暑くて湿った方向へ
- 冬は寒くて乾いた方向へ
変化します。
外気導入は必要ですが、熱や湿気も一緒に持ち込むことを忘れてはいけません。
夏に外気をたくさん入れると空調機の除湿負荷が増える
冬に外気をたくさん入れると室内が乾燥しやすい
(外気は『温度』と『水分量』をそのまま室内に持ち込むため)
この資料で覚えてほしいこと
✅ 空気の状態は温度と水分で決まる
✅ 空気は差があると動く
✅ 湿度は割合である
✅ 結露は温度と水分量で決まる
✅ 空気線図は空気を点で見る道具である
✅ 点の移動を見ると空気の変化が分かる
✅ 空調は温度・湿度・気流・換気をコントロールしている
📥 動く空気線図(無料版)をダウンロードできます
第13章で学んだ 「空気を点で見る」「温度・湿度・水分量の関係をまとめて理解する」 という内容を、実際に“動かして”確認できるツールです。
- 温度・湿度を入力すると空気の点が動く
- 絶対湿度・露点も自動で表示
- 外気と室内の比較もできる
- 再熱や除湿の変化も視覚的に理解できる
学んだ内容を 手を動かして体感できるので、 空気線図の理解が一気に深まります。
最後に
空調の仕事は、機械を扱う仕事ではありません。
空気を理解し、空気をコントロールする仕事です。
空気線図は、見えない空気を「見える化」するための地図。
まずは難しい計算ではなく、「空気を点で見る」ことから始めましょう。