計装の基礎 計装・業務改善

計装工事の基本|電線管・ラック・プルボックスを体系的に理解する

 建設現場で計装工事に携わると、 「電線管はどれを選ぶ?」「占有率は?」「プルボックスのサイズは?」「ケーブルラックの支持間隔は?」 といった判断に、毎日のように直面します。

しかし、

  • 内線規程
  • 電技解釈
  • 設計基準
  • 現場条件

これらをすべて頭に入れたうえで 迷わず判断できる人は意外と少ない のが実情です。

 この記事では、計装工事の全体像を一度でつかめるように、 電線管・ケーブルラック・プルボックス・空調自動制御の基礎を体系的にまとめました。

 これらはバラバラに見えて、実はすべて 「計装配線を安全・確実・効率的に通すための一連の判断」 としてつながっています。

この記事では、まず全体像をつかみ、 必要に応じて各詳細記事へ進めるように構成しています。

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計装とは何か?

 計装(けいそう)とは、 建物や設備を 『自動で最適に動かすための仕組み』 をつくる技術 です。

空調・換気・ポンプ・熱源などの設備が、

  • 安全に
  • 省エネで
  • 快適に

動くように、

  1. 状態を測る(センサー)
  2. 判断する(コントローラ)
  3. 動かす(アクチュエータ)

という一連の流れをつくり、建物全体を「自動運転」させます。

 その代表例が 空調自動制御 で、 建物の快適性・省エネ・安全性を支える 『縁の下の力持ち』 といえる存在です。


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計装工事の全体像

計装工事は、建物の設備(空調・換気・ポンプ・熱源など)を 「自動で安全・省エネ・快適に動かすための工事」 です。

現場で行う作業は大きく次の 5 つに分類できます。

  • 電線管工事(PF・金属管など)
  • ケーブルラック工事
  • 配線(ケーブル)工事
  • 機器取付(センサーなど・端末機器)
  • 制御盤・端末の接続

 しかし実際の現場では、 図面作成 → 打ち合わせ → 配管・配線 → 機器据付 → 調整 → 試運転 といった多岐にわたる業務があり、 単なる『配線工事』ではなく 設備を動かすための総合技術 であることが分かります。

 一方で、 制御ロジックの細かな調整や試運転の専門的な領域は、 制御メーカーや調整専門業者が担当する部分も多く、 この記事では 工事側の視点で迷いやすいポイント に絞って解説します。

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電線管の選定|占有率・曲げ回数・外径から 迷わない決め方

 電線管の選定は、計装工事の中でも 最も迷いやすく、現場ごとに判断が分かれやすい領域 です。
内線規程や電気技術基準には基本ルールがありますが、実際の現場では次のような条件が複雑に絡みます。

  • ケーブルの外径
  • 本数
  • 曲がりの数
  • 施工性
  • 将来増設
  • 現場の制約(梁・ダクト・他設備との干渉)

 つまり、電線管選定の本質は 「内線規程」「電気技術基準」「現場条件」の3つをどうバランスさせるか にあります。

占有率(32%・48%)の考え方

 電線管の選定で最も重要なのが 占有率 です。

占有率意味現場での扱い
32%通線性を重視した「基本基準」迷ったらここを基準にする
48%条件付きで許容される「最大値」曲がりが少なく短距離のときのみ

 占有率は、 「電線管の内径に対して、ケーブルがどれだけの割合を占めるか」 を示す指標で、通線性・施工性・将来増設に直結します。

32%を選ぶべき現場条件

次の条件がある場合、32%を基準に『ワンサイズ上げる』判断がよく行われます。

  • 曲がりが多い(4回ギリギリ)
  • 長距離の配管
  • ケーブルが硬い(CVV・シールド線など)
  • 追加配線の可能性がある
  • PF管で通線抵抗が大きい
  • 既設配管で通線性が悪い

👉 経験者ほど「迷ったら太め」を選ぶ理由は、通線トラブルを避けるため。

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ケーブル外径から管サイズを決める

 現場で最も使われる判断手順は次の4ステップです。

  • ケーブルの外径を確認する  メーカー仕様書 or 実物で確認。
  • 本数を決める
  • 占有率に当てはめて管サイズを仮決定
  • 曲がり・施工性を考慮して最終決定

👉 『迷ったら太め』が現場では正解になりやすい。 通線性・将来増設・トラブル防止の観点から、経験者ほどこの判断を取ります。

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ケーブルラックの選び方|幅・余裕・支持間隔で『迷わない決め方』

 ケーブルラックの選定は、 「幅をどう決めるか」「余裕をどれだけ見込むか」「支持間隔をどうするか」 という3つの判断が中心になります。

 図面上はシンプルに見えても、実際の現場では次のような要素が絡み、 最適解が現場ごとに変わるため迷いやすいポイント です。

  • ケーブル本数の増減
  • 他設備との干渉(ダクト・配管・梁)
  • 将来増設の可能性
  • 曲がり部の処理
  • 施工性(通しやすさ・束ねやすさ)
  • ケーブル重量(耐荷重の判断)
  • 2段積みの間隔

ここでは、現場で迷わないための 『実務的な選び方』 をまとめます。

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プルボックスの選定|サイズ・位置・支持点数を『迷わず決める』実務基準

 プルボックス(PB)は、 電線管の曲がり・長距離・分岐・通線性の確保 のために設ける重要な要素です。

しかし実際の現場では、

  • 内線規程
  • 電気設備技術基準(電技)
  • 建築設備設計基準
  • 現場条件(梁・ダクト・他設備との干渉)

これらが微妙に異なるため、 「どこに置く?」「どのサイズにする?」で迷いやすい領域 です。

寸法の算出方法

プルボックスは、次の条件で設けるのが基本です。

※プルボックスの必要判断で最も迷いやすいのが 「曲がり回数の扱い」 です。

実は、

  • 内線規程(JEAC)
  • 電気設備技術基準(電技)

この2つで 表現が微妙に違う ため、 現場で判断が割れやすいポイントになっています。

  • 1区間が30mを超える場合
    → 電技・内線規程ともに「30m以内」が原則 → 30m超は中継ボックス必須
  • 曲がりが多い場合(90°、4曲げ以上)
    3(または4)曲げ(270°)を超える場合 → 中継ボックス必須
  • ケーブル本数が多い場合
    → 束が太くなると通線抵抗が急増 → PBを入れないと施工不能になることも
  • 将来増設を考慮する場合
    → PBがあると入替え・増設が容易

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空調自動制御の基礎|工事側が押さえるべきポイント

 空調自動制御は、建物の 温度・湿度・風量・圧力「計測 → 判断 → 制御」 の流れで自動的に最適化する仕組みです。

工事側が押さえるべきポイントは次の4つ。

  • どんなセンサーが何を測っているか
  • どの機器がどう動く仕組みなのか
  • 配線・配管をどこにどう通すべきか
  • 現場で起きやすい『間違い』を避けること

ここでは、現場で迷わないための 最低限の基礎 を整理します。

空調自動制御の基本構成(3つの要素)

空調自動制御は、次の3つで構成されています。

センサー(計測):制御の出発点

状態を読み取る部分。

  • 温度センサー
  • 湿度センサー
  • 圧力センサー
  • 流量センサー
  • CO₂センサー

👉 センサー位置が悪いと、どれだけ制御が良くても性能が出ない。

コントローラ(判断):頭脳

センサーの値をもとに、「冷やす?」「温める?」「風量を増やす?」といった判断を行う頭脳部分。

  • DDC(分散型制御装置)
  • PLC(シーケンサ)
  • 制御盤内のリレー・タイマ

👉 工事側は 入出力点(I/O)と配線の正確さ が最重要。

アクチュエータ(制御):実際に動く部分

  • ダンパーアクチュエータ
  • 電動二方弁・三方弁
  • インバータ(ファン・ポンプ)
  • 電磁弁

👉 向き・ストローク・配線極性の間違いがトラブルの原因。

制御の種類(工事側が知っておくべき範囲)

 制御ロジックの詳細は調整業者の領域ですが、工事側は 『どんな制御方式か』 を理解しておくとトラブルを防げます。

ON/OFF制御

  • 温度が上がったらON / 下がったらOFF
    → 単純で多くの設備に使われる

比例制御

  • 温度差に応じてダンパや弁を連続的に動かす
    → VAV・CAV・冷温水弁など

PID制御

  • 比例+積分+微分
    → 精密な制御が必要な場所で使用

👉 工事側は 「この機器は比例制御か、ON/OFFかなど」 を把握しておけば十分。

センサーの設置位置(現場で最も重要)

センサー位置が悪いと、制御が狂う → 苦情 → 再調整 → 手戻りという最悪の流れになります。

■ 温度センサー

  • 直射日光NG
  • 吹出口・吸込口の近くNG
  • 壁の中に埋めない
  • 人の高さ(1.2〜1.5m)が基本

■ 湿度センサー

  • 結露しやすい場所NG
  • 外気の影響を受けない位置
  • 空気がよどむ場所NG

圧力センサー

  • ダクトの曲がり直後はNG
  • 直管部に設置

👉 センサー位置は『制御の8割』を決める。

アクチュエータの施工で間違えやすいポイント

ダンパーの向き

  • 開度表示と実際の動きが逆になることがある
  • 風向と羽根の向きを必ず確認
  • 施工後に『手動操作』で動きを確認する

電動弁の向き

  • 流れ方向(→)を必ず確認
  • 三方弁は配管方向を間違えると制御不能
    → 分流型と混合型があるので要注意

まとめ|計装工事は「判断の連続」を体系化すると迷わない

 計装工事は、 ラック → 電線管 → プルボックス → 配線 → 機器 → 制御 という一連の流れの中で、常に判断が求められる仕事です。

 こうした判断は、 内線規程・電技・設計基準・現場条件 をどう組み合わせるかで決まります。

 この記事では、現場で迷いやすいポイントを 『工事側の視点』で体系的に整理 しました。

 計装工事は複雑に見えて、 判断の軸を持てば一気に迷わなくなる分野 です。

 「空調制御の全体像をつかみたい」「基礎から順番に理解したい」という方へ。

 専門的な内容も、建物設備 → 制御 → BAS の流れでやさしく整理されています。

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