計装の基礎 計装・業務改善

計装工事の基本|電線管・ラック・プルボックスを体系的に理解する

 建設現場で計装工事に携わると、 「電線管はどれを選ぶ?」「ラック幅は?」「プルボックス寸法は?」 といった判断に直面します。

 しかし、内線規程・電技・設計基準・現場条件をすべて頭に入れたうえで 『迷わず判断できる人』は意外と少ないのが実情です。

 この記事では、計装工事の全体像を一度でつかめるように、 電線管・ケーブルラック・プルボックス・空調自動制御の基礎を 現場経験から体系的にまとめました。

 これらはバラバラに見えて、実はすべて 「計装配線を安全・確実・効率的に通すための一連の判断」 としてつながっています。

この記事では、まず全体像をつかみ、 必要に応じて各詳細記事へ進めるように構成しています。

計装とは何か?

 計装(けいそう)とは、 建物や設備を『自動で最適に動かすための仕組み】をつくる技術 です。
空調・換気・ポンプ・熱源などの設備が、 「安全に」「省エネで」「快適に」動くように、 状態を測り(センサー) → 判断し(制御) → 動かす(アクチュエータ) という一連の流れをつくります。

 その代表例が 空調自動制御 で、 建物の快適性・省エネ・安全性を支える 『縁の下の力持ち』 といえる存在です。


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計装工事の全体像

計装工事は大きく次の構成になります。

  • 電線管工事(PF・金属管)
  • ケーブルラック工事
  • 配線(ケーブル)工事
  • 機器取付(センサーなど・端末機器)
  • 制御盤・端末の接続

 しかし実際の現場では、 図面作成 → 打ち合わせ → 配管・配線 → 機器据付 → 調整 → 試運転 といった多岐にわたる業務があり、 単なる『配線工事』ではなく 設備を動かすための総合技術 であることが分かります。

 一方で、 制御ロジックの細かな調整や試運転の専門的な領域は、 制御メーカーや調整専門業者が担当する部分も多く、 この記事では 工事側の視点で迷いやすいポイント に絞って解説します。

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電線管の選定

 電線管の選定は、計装工事の中でも 最も迷いやすく、現場ごとに判断が分かれやすい領域 です。 内線規程や設計基準には基本ルールがあるものの、実際の現場では次のような条件が複雑に絡みます。

  • ケーブルの外径
  • 本数
  • 曲がりの数
  • 施工性
  • 将来増設
  • 現場の制約(梁・ダクト・他設備との干渉)

 つまり、電線管選定の本質は 「内線規程」「電気技術基準」「現場条件」の3つをどうバランスさせるか にあります。

占有率(32%・48%)の考え方

 電線管の選定で最も重要なのが 占有率 です。

  • 32%:通線性を重視した『基本の基準』
  • 48%:条件付きで許容される『最大値』

占有率は、 「電線管の内径に対して、ケーブルがどれだけの割合を占めるか」 を示す指標で、通線性・施工性・将来増設に直結します。

 現場では次のような条件がある場合、 32%を基準に『ワンサイズ上げる』判断 がよく行われます。

  • 曲がりが多い
  • 長距離
  • ケーブルが硬い
  • 追加配線の可能性がある

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ケーブル外径から管サイズを決める

 現場で最も使われる判断手順は次の4ステップです。

  • ケーブルの外径を確認する  メーカー仕様書 or 実物で確認。
  • 本数を決める
  • 占有率に当てはめて管サイズを仮決定
  • 曲がり・施工性を考慮して最終決定

👉 『迷ったら太め』が現場では正解になりやすい。 通線性・将来増設・トラブル防止の観点から、経験者ほどこの判断を取ります。

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ケーブルラックの選び方

 ケーブルラックの選定は、 「幅をどう決めるか」「余裕をどれだけ見込むか」「支持間隔をどうするか」 という3つの判断が中心になります。

 図面上はシンプルに見えても、実際の現場では次のような要素が絡み、 最適解が現場ごとに変わるため迷いやすいポイント です。

  • ケーブル本数の増減
  • 他設備との干渉(ダクト・配管・梁)
  • 将来増設の可能性
  • 曲がり部の処理
  • 施工性(通しやすさ・束ねやすさ)

ここでは、現場で迷わないための 『実務的な選び方』 をまとめます。

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プルボックスの選定

 プルボックス(PB)は、 電線管の曲がり・長距離・分岐・通線性の確保 のために設ける重要な要素です。

 しかし、内線規程・電技・設計基準の表記が微妙に異なるため、 「どこに置く?」「どのサイズにする?」で迷いやすい部分でもあります。

 ここでは、 現場で迷わないための『実務的な選定基準』 をまとめます。

寸法の算出方法

プルボックスは、次の条件で設けるのが基本です。

  • 1区間が30mを超える場合
    → 電技・内線規程ともに「30m以内」が原則 → 30m超は中継ボックス必須
  • 曲がりが多い場合(90°、4曲げ以上)
    4曲げ(270°)を超える場合 → 中継ボックス必須
  • ケーブル本数が多い場合
    → 束が太くなると通線抵抗が急増 → PBを入れないと施工不能になることも
  • 将来増設を考慮する場合
    → PBがあると入替え・増設が容易

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空調自動制御の基礎|工事側が押さえるべきポイント

 空調自動制御は、建物の温度・湿度・風量・圧力を「計測 → 判断 → 制御」 する仕組みです。

工事側として重要なのは、

  • どんなセンサーが何を測っているか
  • どの機器がどう動く仕組みなのか
  • 配線・配管をどこにどう通すべきか
  • 現場での『間違えやすいポイント』を避けること

などです、ここでは、現場で迷わないための『最低限の基礎』を整理します。

空調自動制御の基本構成(3つの要素)

空調自動制御は、次の3つで構成されています。

センサー(計測):制御の出発点

状態を読み取る部分。

  • 温度センサー
  • 湿度センサー
  • 圧力センサー
  • 流量センサー
  • CO₂センサー

👉 センサー位置が悪いと、どれだけ制御が良くても性能が出ない。

コントローラ(判断):頭脳

センサーの値をもとに、「冷やす?」「温める?」「風量を増やす?」といった判断を行う頭脳部分。

  • DDC(分散型制御装置)
  • PLC(シーケンサ)
  • 制御盤内のリレー・タイマ

👉 工事側は 入出力点(I/O)と配線の正確さ が最重要。

アクチュエータ(制御):実際に動く部分

  • ダンパーアクチュエータ
  • 電動二方弁・三方弁
  • インバータ(ファン・ポンプ)
  • 電磁弁

👉 向き・ストローク・配線極性の間違いがトラブルの原因。

制御の種類(工事側が知っておくべき範囲)

 制御ロジックの詳細は調整業者の領域ですが、工事側は 『どんな制御方式か』 を理解しておくとトラブルを防げます。

ON/OFF制御

  • 温度が上がったらON / 下がったらOFF
    → 単純で多くの設備に使われる

比例制御

  • 温度差に応じてダンパや弁を連続的に動かす
    → VAV・CAV・冷温水弁など

PID制御

  • 比例+積分+微分
    → 精密な制御が必要な場所で使用

👉 工事側は 「この機器は連続制御か、ON/OFFか」 を把握しておけば十分。

センサーの設置位置(現場で最も重要)

センサー位置が悪いと、制御が狂う → 苦情 → 再調整 → 手戻りという最悪の流れになります。

■ 温度センサー

  • 直射日光NG
  • 吹出口・吸込口の近くNG
  • 壁の中に埋めない
  • 人の高さ(1.2〜1.5m)が基本

■ 湿度センサー

  • 結露しやすい場所NG
  • 外気の影響を受けない位置
  • 空気がよどむ場所NG

圧力センサー

  • ダクトの曲がり直後はNG
  • 直管部に設置

👉 センサー位置は『制御の8割』を決める。

アクチュエータの施工で間違えやすいポイント

ダンパーの向き

  • 開度表示と実際の動きが逆になることがある
  • 風向と羽根の向きを必ず確認
  • 施工後に『手動操作』で動きを確認する

電動弁の向き

  • 流れ方向(→)を必ず確認
  • 三方弁は配管方向を間違えると制御不能
    → 分流型と混合型がある

まとめ|計装工事は「判断の連続」を体系化すると迷わない

 計装工事は、 ラック → 電線管 → プルボックス → 配線 → 機器 → 制御 という一連の流れの中で、常に判断が求められる仕事です。

 こうした判断は、 内線規程・電技・設計基準・現場条件 をどう組み合わせるかで決まります。

 この記事では、現場で迷いやすいポイントを 『工事側の視点』で体系的に整理 しました。

 計装工事は複雑に見えて、 判断の軸を持てば一気に迷わなくなる分野 です。

 「空調制御の全体像をつかみたい」「基礎から順番に理解したい」という方へ。

 専門的な内容も、建物設備 → 制御 → BAS の流れでやさしく整理されています。

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