こんにちは!ぼくはコントローラ先生。
今日はビルの空調について、やさしく解説していくよ。
「前回は、空調機(AHU)の中で空気がどう整えられるかを見たね。
空気は冷水コイルや温水コイルで熱を受け取ったり渡したりしていたけれど、 実はその『熱』を運んでいるのは空気じゃなくて水なんだよ。」
「空調機って『空気を冷やす機械』だと思われがちだけどね、 実はその裏で、大量の水がビル中をぐるぐる回っているんだ。」
空気は軽くて熱をあまり持てません。 だから空調は、空気だけで冷やしたり暖めたりしているわけではありません。
空調の本当の主役は、 水(冷水・温水・冷却水) なんです。
今日はその「水の流れ」を、ビル全体の視点で見てみましょう。
空調は『水』で熱を運んでいる
空気は軽いので、熱をたくさん運ぶのが苦手です。
一方、水は重くて熱をたっぷり運べます。
だから空調では👇
- 空気 → 人が感じるためのもの
- 水 → 熱を運ぶためのもの
この役割分担で動いています。
空調機(AHU)で空気を冷やしたり暖めたりするとき、実際に熱を運んでいるのは 水 なんです。
水の流れは3つの系統に分かれている
ビルの中を流れる水は、目的によって3種類あります。
「空気の比熱は 0.24 kcal/kg・℃、水は 1.0 kcal/kg・℃。
密度も空気の約800倍。
だから水は空気より圧倒的に熱を運べるんだ。」
■ 冷水(冷房用)
冷凍機で約7℃に冷やされる → 空調機へ送られる → 空気を冷やす → 約12℃になって戻る
■ 温水(暖房用)
ボイラーで40〜60℃に加熱 → 空調機へ送られる → 空気を暖める → 温度が下がって戻る
■ 冷却水(熱を外へ捨てる用)
冷凍機で熱を受け取る → 冷却塔へ送られる → 蒸発で熱を捨てる → 冷えて戻る
「空気を整えるために、裏でこんなに水が働いているんだよ」
ビル全体の水の流れ
ビル全体の水の流れを図で見ると、冷水・温水・冷却水がどんな経路で循環しているかが一目で分かります。

※図には膨張タンクの記載はありません。
密閉系統と開放系統(膨張タンクの話)
水は温度が変わると膨張したり縮んだりします。
そのため、配管の種類によって扱いが変わります。
■ 冷水・温水は「密閉系統」 → 膨張タンク(ET)が必要
「密閉されているから、膨張した水の逃げ場がないんだよ」
膨張タンクが圧力を吸収してくれます。
■ 冷却水は「開放系統」→ 膨張タンクは不要
冷却塔の水槽は外気に開いているため、系統内の圧力は常に大気圧とつながっています。
そのため、温度変化による膨張や収縮があっても圧力が上がらず、膨張タンクを設ける必要がないんです。
「冷却塔の水槽そのものが『膨張タンクの代わり』になっている」と考えるとわかりやすいですね。
この図のように、冷水・温水・冷却水がそれぞれ独立したループを作り、冷凍機・ボイラー・冷却塔を介して熱を運んでいます。
空調機(AHU)に水が届くまでの流れ
水はポンプで押し出され、配管を通って空調機へ届きます。
空調機の中では👇
- 冷水コイル(冷房)
- 温水コイル(暖房)
で空気と熱をやり取りします。
「空気と水が出会って『熱だけ交換』している場所がコイルなんだよ」
▶ この続きは第11回で詳しくやります。
■ 冷房(冷水系統)
冷凍機(冷水を作る) → CS(冷水往き) → 空調機の冷水コイル(空気を冷やす) → CR(冷水還り) → 冷凍機へ戻る
■ 暖房(温水系統)
ボイラー(温水を作る) → HS(温水往き) → 空調機の温水コイル(空気を暖める) → HR(温水還り) → ボイラーへ戻る
■ 熱の最終処理(冷却水系統)
冷凍機(熱を受け取る) → CWS(冷却水往き) → 冷却塔(蒸発で熱を捨てる) → CWR(冷却水還り) → 冷凍機へ戻る
現場ポイント(先生の補足)
- 冷水温度が高い → 冷凍機の能力低下 or 冷却塔の不調
- 冷却塔が効かない → 冷凍機の凝縮圧力が上昇
- ポンプが弱い → 流量不足 → コイル能力低下
- 冷却水が汚れる → 伝熱低下 → 冷凍機の負荷増加
「空調が冷えないとき、空気より『水』を疑う方が早いんだよ」
- 空調は空気ではなく『水』 が熱を運ぶ
- 冷水・温水・冷却水の3系統がビルを循環している
- 冷えない・暖まらないときは「水の流れ」を疑う
「次回は、この水の流れを“どう制御しているのか”を見ていくよ。
ここからが空調自動制御の本番だね。」