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電線管の選定方法とは?内線規程と占積率の基本をわかりやすく解説

 施工や施工図の作成時に、電線管のサイズ選定で悩んだ経験はありませんか?
 電線管の内部は、単にスペースがあるからといって、無制限に電線を収納できるわけではありません。 電線管のサイズ選定には、内線規程に基づいた適切な判断が求められます。

 適切な選定を行うことで、安全性の確保はもちろん、施工後のトラブルを未然に防ぐことが可能になります。 内線規程の基準を正しく理解し、計算方法を活用することで、より安心で効率的な施工が実現できます。

 電線管(でんせんかん)とは、電線やケーブルを保護・収納するための管(パイプ)のことです。電気工事や建物の配線でよく使われていて、以下のような役割があります:

🔌 主な役割

  • 電線の保護:外部からの衝撃や水、熱、紫外線などから電線を守る
  • 美観の向上:電線を隠してスッキリ見せる
  • メンテナンス性の向上:電線の交換や点検がしやすくなる
  • 火災リスクの軽減:電線の損傷による漏電や発火を防ぐ

🧱 主な種類

種類特徴使用場所
厚鋼電線管(G管)丈夫で屋外向き屋外・工場など
薄鋼電線管(C管)軽くて施工しやすい(現在ではあまり使われない)屋内
ねじなし電線管(E管)工事が簡単(屋内配管ではC管よりE管が主流)屋内
可とう電線管(プリカチューブなど)曲げやすく柔軟機械周りなど
合成樹脂管(PF管・CD管など)軽量で安価屋内・地中など

内線規程には・・

 内線規程には、同一電線の本数に関する規定は記載されていますが、異なる種類の電線やケーブルを同一配管に収める場合の具体的な指針は明確ではありません。
では、異なる種類の電線やケーブルを同一配管に収める際、どのように選定すればよいのでしょうか?

異なる種類の電線を同一配管に収める際の選定ポイント

 異種電線を同一管内に収める場合、電線の被覆絶縁物を含む断面積の総和が管の内断面積の32%以下となるように選定することが推奨されます。
 また、管の屈曲が少なく、容易に電線を引き入れ及び引き替えることができる場合は、48%以下まで許容されるため、施工条件に応じた適切な判断が必要です。

動力配線を収める電線管の選定

 動力配線を収める電線管の選定では、電流減少係数を考慮することが不可欠です。
電線管内に複数の電線を収めると放熱性能が低下し、許容電流が減少するため、適切なサイズの電線管を選定することが重要です。

 また、施工環境や配線の条件に応じて、管内の占有率を計算し、内線規程の基準(32%以下または48%以下)を満たすかどうか確認する必要があります。
 特に動力配線は負荷が大きいため、電線の断面積・管の内断面積・放熱特性を考慮しながら選定を行うことで、安全な施工が可能になります。

計装配線(信号)を主軸とした電線管選定

 今回は、計装配線(信号)を主軸として、適切な電線管を選定する方法について解説します。
 計装配線では、信号の安定性を確保するために、ノイズ対策や適切な管径の選定が重要です。
 内線規程の基準を考慮しながら、電線の断面積・管の内断面積・占有率を計算し、最適な電線管を選定していきます。

内線規程を要約すると

内線規程 3110-5:管の太さの選定

1. 同一太さの絶縁電線を同一管内に収める場合

金属管の太さは、以下の基準に従って選定します。

  • 電線の本数が10本以下の場合 → 3110-2表~3110-4表を参照
  • 電線の本数が10本を超える場合 → 3110-5表を参照

3110-2表~3110-5表には、「厚鋼・薄鋼・ねじなし電線管の太さの選定」について記載されています。

2. 屈曲が少なく、電線の引き入れ・引き替えが容易な場合

前項の規定にかかわらず、以下の条件で選定可能です。

  • 電線が同一太さで断面積8m㎡以下3110-6表を参照
  • その他の場合3110-7表~3110-11表を参照
    電線の被覆絶縁物を含む断面積の総和が管の内断面積の48%以下となるように選定

3110-6表には、「管の屈曲がなく、容易に電線の引き入れ・引き替えができる場合の最大電線本数」が記載されています。

3. 異なる太さの絶縁電線を同一管内に収める場合

  • 3110-7表~3110-11表を参照し、
    電線の被覆絶縁物を含む断面積の総和が管の内断面積の32%以下となるように選定

内線規程の背景と適用範囲

背景
 内線規程は、日本電気協会が定める民間自主規格であり、電気設備の設計・施工・維持・検査において保安上守るべき技術基準を詳細に規定しています。
 このこの規程は、電気設備技術基準の解釈を補完し、より具体的な施工方法を示すことで、安全で適切な電気設備の運用を支援する役割を果たしています。

適用範囲
 内線規程は、以下のような電気設備の設計・施工・維持・検査に適用されます。

  • 一般用電気工作物(住宅・商業施設など)
  • 自家用電気工作物(工場・ビル・病院など)
  • 特別高圧を除く電気設備(高圧受電設備など)

 また、電力会社が電力供給の際に、需要施設の電気工事を審査・検査するための判定基準としても使用されます。
そのため、施工業者や設計者は、内線規程を遵守することで、安全性を確保し、適切な電気設備の運用を実現できます。

 内線規程では、異なる太さの絶縁電線を同一管内に収める場合、電線の被覆絶縁物を含む断面積の総和が管の内断面積の32%以下となるように選定する必要があります。さらに、管の屈曲が少なく、容易に電線を引き入れ及び引き替えることができる場合は48%以下まで許容されます。

電線管の選定

 電線管やケーブルラックを選定する際には、適切なサイズを決定するための計算が重要です。
内線規程に基づき、どのような根拠でサイズを決定するのかを理解すると、より適切な選定が可能になります。計算方法を整理し、分かりやすく解説していきます。

計算方法

  1. 各電線の外径を確認(メーカーの仕様書を参照)
  2. 電線の断面積を求める(円の面積公式:( A = (外径/2)^2xπ)
  3. 電線の総断面積を計算(異なる電線の断面積を合計)
  4. 管の内断面積を確認(内断面積を計算)
  5. 総断面積 ÷ 管の内断面積 × 100 で占有率を算出
  6. 32%以下(または48%以下)であることを確認

 例えば、CVV 1.25m㎡ - 2C x1,CVV 1.25m㎡ - 4C x1 の2本の電線を電線管に収めたいと思います。

線種外径
CVV 1.25m㎡ - 2C9.1mm
CVV 1.25m㎡ - 4C10.5mm

電線の断面積

電線の断面積を計算
CVV 1.25m㎡ - 2C
A=(9.1/2)^2xπ となり、断面積は65.0m㎡となります。

CVV 1.25m㎡ - 4C
A=(10.5/2)^2xπ となり、断面積は86.6m㎡となります。

電線の総断面積を計算

65.0m㎡ + 86.6m㎡ = 151.6m㎡

電線管の内断面積
例えば、G22の電線管の場合、内径は21.9mm

電線管の内断面積を計算
管内断面積=(21.9/2)^2xπ となり 内断面積は376.7m㎡となります。

占有率を計算

151.6m㎡/376.7m㎡x100≒40(%)

 このように計算すると、『占有率は約40%』となり、内線規程の基準(32%以下)を満たしていません
そのため、32%以下になるように電線管を再選定します。

 また、48%以下の条件を満たしているため電線管の屈曲が少なく、容易に電線を引き入れ及び引き替えができる場合は問題ないことがわかります。

Excelを使って電線管選定ツールを作成しよう!

 電線管のサイズ選定は、内線規程に基づき、電線の断面積や管の内断面積を考慮して決定します。そこで、Excelを活用して電線管選定ツールを作成し、計算を簡単に行えるようにしてみましょう!

 Excelを活用した電線管選定方法の作成については、こちらをご参照ください。
電線管選定をもっと簡単に!Excelで自動計算する方法

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