【訂正とお詫び】
先日の記事において、電線管に電線を収める際の許容電流計算で、本来必要な補正係数の適用を記載し忘れていた部分がありました。
正しくは、内線規程の表に基づき、単線3.2mm または より線8mm²以下の電線には補正係数を掛けて計算する必要があります。
誤った情報を掲載してしまい、読者の皆さまにご迷惑や混乱を招いてしまったことを深くお詫び申し上げます。
今後はより丁寧な確認と検証を行い、初心者の方にも安心して読んでいただける内容づくりに努めてまいります。
「この電線、何本まで入れていいの?」
電線管のサイズ選定で必ず出てくるのが「占有率(占積率)」の問題です。
内線規程や電気設備技術基準では、電線の被覆を含む断面積の合計が、管の内断面積の32%以下であることを基本としています。
ただし、管の屈曲が少なく、電線の引き替えが容易な場合は48%まで許容されるという例外もあります。
この記事では、32%と48%の違い・適用条件・計算方法・実務での判断基準をわかりやすく解説します。
占有率とは?なぜ必要なのか
占有率と占積率の違い
占有率と占積率は、似ているようで意味が異なる概念です。
現場では混同されがちですが、設計や施工においては明確に区別する必要があります。
| 用語 | 定義 | 計算対象 | 使用場面 |
|---|---|---|---|
| 占積率 | 電線の断面積合計 ÷ 管の内断面積 | 数値的な割合(%) | 設計・規定判断 |
| 占有率 | 実際にケーブルが占める感覚的な割合 | 施工時の体感・密度 | 現場判断・施工性評価 |
内線規程や電気設備技術基準では、「占積率」=断面積ベースの計算値が基準となります。
一方、現場では「占有率」という言葉が使われることも多く、施工者の感覚的な密度評価として使われることがあります。
内線規程における占有率の定義
内線規程では、電線管のサイズ選定において電線の被覆を含む断面積の合計が、管の内断面積の32%以下であることが基本とされています。
これは、電気設備技術基準の解釈 第147条などに基づくもので、以下のような目的があります。
- 電線の発熱を抑える(熱対策)
- 引き込みや引き替えを容易にする(施工性)
- 絶縁劣化や火災リスクを防ぐ(安全性)
ただし、管の屈曲が少なく、電線の引き替えが容易な場合は、48%まで占積率を緩和できるとされています。
この緩和条件は、設計者の判断と現場状況の確認が必要であり、常に適用できるわけではありません。
✅ ポイント:32%は「通常条件」、48%は「例外条件」。
設計図面や施工計画書に明記することで、後工程のトラブルを防げます。
32%と48%の違い
電線管内に電線を収容する際、電線の被覆絶縁物を含む断面積の総和が、管の内断面積の32%以下であることが基本条件です。
この基準は、内線規程3110-7~11や電気設備技術基準の解釈 第147条に基づいており、以下のような目的があります。
32%の基準(通常条件)
内線規程3110には、
32%になる条件(複合の場合)
- 太さの異なる電線を混在させる場合(複合)
- その場合は 占積率 32%以下
つまり、
- IV 1.6 と IV 2.0 を混ぜる
こういったケースは 32% の方を使います。
- 電線の発熱を抑える(熱対策)
- 引き込みや引き替えを容易にする(施工性)
- 絶縁劣化や火災リスクを防ぐ(安全性)
この「32%ルール」は、金属管(E管・G管など)を使用する場合の標準的な設計条件として広く使われています。
48%が許容される条件とは?
ただし、以下の条件を満たす場合に限り、占有率を48%まで緩和することが可能です。
内線規程3110には、
48%が許される条件
- 引き入れ・引き抜きが容易である
- 同一サイズの電線を複数本
- 管の屈曲が少ない(直線的である)
つまり、
IV 2.0 を3本
IV 1.6 を3本
など、同じ太さでなら48%が適用できます。
※本数は内線規程に記載の表で決まっています
この緩和条件は、設計者の判断と現場状況の確認が必要であり、常に適用できるわけではありません。
特に、点検口がない・将来的な引き替えが困難な配管では、48%の適用は避けるべきです。
✅ 実務ポイント:設計図面や施工計画書に「48%適用の根拠」を明記しておくと、後工程でのトラブル防止につながります。
電線?ケーブル?金属管?防護管? 配管サイズは占有率?それとも1.5倍? 迷いやすいポイントを筆者的に整理しました。
関連記事 👉金属管は『目的』で節が変わる|電気工事と計装工事で異なる3110節・3165節の考え方
占有率の計算方法
電線の断面積の求め方(被覆含む)
占有率を計算する際は、電線の「被覆を含む外径」から断面積を算出します。
絶縁体を含まない芯線径ではなく、実際に管内で占める太さ=外径ベースで計算するのがポイントです。
計算式(円形断面の場合)
[断面積] =r×r× π
[断面積] =(D ÷ 2)^2 × π
- ( r ):電線の半径(mm)、半径(radius)
- ( D ):電線の(mm)、直径(diameter)
- 単位:mm²
※電線の半径を調べる際は、メーカーのWebサイトやカタログを参照します。
ただし、ほとんどの場合は外径(直径)で表示されているため、半径は「外径 ÷ 2」で計算して求める必要があります。
外径と直径の違い
| 用語 | 意味 | 使用場面 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 直径(Diameter) | 円の中心を通る線の長さ(=半径×2) | 数学・図形・断面積の計算 | 記号「D」や「φ」で表記されることが多い |
| 外径(Outer Diameter) | 実物の外側の端から端までの寸法 | 電線・管・部品の寸法表記 | 被覆や外装を含む「実寸」 |
- 電線や管の寸法を調べる場合
→ メーカー表記の「外径」を確認し、それを直径として扱う
→ 半径が必要なら「外径 ÷ 2」で求める
- 「外径(実寸)を直径として扱い、断面積計算に使う場合は明記する」
- 「φ25は外径25mmの意味。断面積計算ではD=25として扱う」
外径が10.5mmの電線の場合
[ (10.5 / 2)^2 * π = 86.6 mm² ]
複数本ある場合は、断面積 × 本数で合計断面積を求めます。
管の内径断面積の確認方法(E管・G管など)
電線管の内径断面積は、管種(E管・G管)とサイズ(呼び径)によって異なります。
以下は代表的なサイズの内径断面積の目安です。
| 管種 | 呼び径 | 内径(mm) | 内径断面積(mm²) |
|---|---|---|---|
| E管 | 25 | 約23.0 | 約415.5 |
| G管 | 22 | 約21.9 | 約379.9 |
| E管 | 31 | 約29.0 | 約660.6 |
| G管 | 36 | 約36.9 | 約1,070.3 |
※内径はメーカーや規格によって若干異なるため、設計時は規格表やカタログで確認するのが確実です。
実際の計算例
例題:外径6mmの電線を10本収容する場合
- 電線1本の断面積
→ (6/2)^2*π= 28.26 mm² - 電線10本の合計断面積
→ (28.26 *10 = 282.6 mm²) - 補正係数を掛ける
282.6*1.2 = 339.12m㎡ - E管31の内径断面積
→(29/2)^2*π = 660.6mm² - 占有率
→(339.12/660.6) = 51.3% - E管39の内断面積
→(35/2)^2*π = 961.6m㎡ - 占有率
→(339.12/961.6)= 35.3%
判定
- E39の場合
- 通常条件(32%以下)→ NG
- 条件付き(48%以下)→ OK
- →E39では条件付きで収容可能
- 原則(32%)を守る → E51
今回の計算は、あくまで「電線の太さに応じて電線管のサイズを選定するためのもの」です。
一方で、電源ケーブル(電力線)を選ぶ場合は、
・許容電流に基づく電線の太さの選定
・電流減少係数(補正係数)の適用
といった追加の検討が必要になります。
この2つは目的が異なるため、計算方法も別になります。
実務での判断ポイント
32%と48%、どちらを使うべきか?
占有率の基準は、原則として32%を採用するのが安全かつ汎用的です。
48%の緩和条件は、以下のようなケースでのみ検討されます。
- 配管が直線的で屈曲が少ない
- 引き替えや点検が容易な構造
- 電線の種類・本数が明確で識別性が高い
ただし、将来的なメンテナンスや増設を考慮すると、32%を基準に設計する方が無難です。
特に、点検口がない・天井裏などの狭所配管では48%の適用は避けるべきです。
実務ポイント:設計図面に「占有率32%基準で選定」などの注記を入れておくと、施工者との認識ズレを防げます。
設計時の注意点と安全マージン
設計段階では、以下のような点に注意することで安全性と施工性を両立できます。
- 占有率は最大値ではなく『目安』として使う
→ 32%ギリギリではなく、25〜28%程度で設計するのが理想 - 異種ケーブル混在時は、断面積の計算根拠を明記する
→ 型番・外径・本数を一覧化しておくと、施工時の確認が容易 - 将来的な増設や引き替えを想定して管径に余裕を持たせる
→ 特にLAN・制御線・センサー線などは後から追加されがち
LANケーブルやセンサーケーブルの外径をもとに占有率を計算する際、注意すべきなのは『先端部の付属品』です。
メーカー仕様ではケーブル本体の外径しか記載されていないことが多いですが、実際の施工では先端にコネクタやノイズフィルターが取り付けられている場合があり、管内での収容スペースに影響を与えることがあります。そのため、外径だけで占有率を計算してしまうと、施工時に「入らない」「引き替えできない」といったトラブルにつながる可能性があります。
実務での対策ポイント
- 先端部の寸法も含めて『最大径』で判断する
- コネクタ付きケーブルは、管端部のスペースに余裕を持たせる
- 施工図面に「先端部の形状・寸法」も記載しておくと安心
- 占有率計算は『本体外径』+『先端部の干渉』を考慮して設計する
- 電線管にケーブルを収容する際は、先端のコネクタ部分が干渉しないように位置をずらして収納する。
施工現場での確認方法
施工現場では、図面通りに収容できるかどうかを実寸と感覚の両方で確認することが重要です。
- 収容前に電線本数と管径を再確認するチェックリストを活用
- 48%適用時は、施工責任者が現場状況を記録しておく
- 施工後の写真記録を残しておくと、将来の点検・引き替え時に役立つ
Excelで占有率を自動計算する
テンプレートの使い方と注意点
占有率の計算は、電線の外径・本数・管種ごとの内径断面積をもとに行うため、手計算ではミスや手間が発生しがちです。
Excelテンプレートでは、線種・本数の項目を入力するだけで自動計算が可能です。
注意点
- 電線の外径はメーカー仕様書で確認すること
- 異種ケーブル混在時は、種類ごとに別行で入力する
- 管種の選択ミスに注意(E管とG管で内径が異なる)
- 先端部のコネクタやフィルターの干渉は別途考慮が必要
Excelテンプレートでは、32%・48%の占有率基準に基づいて、必要な電線管サイズが一目で判定できます。
ダウンロードページへ進む
まとめ
この記事では、電線管の占有率に関する32%・48%の違いと計算方法、実務での判断ポイントを整理しました。
設計者・施工者それぞれの視点から、安全性・施工性・将来性を考慮したサイズ選定のヒントをお届けできたと思います。
関連記事リンク(ケーブルラック・プルボックス)
電線管の選定は、ケーブルラックやプルボックスとの接続設計とも密接に関係しています。
以下の関連記事もぜひご覧ください。
各記事にはExcelテンプレートや図解も掲載しているので、現場での確認にも活用できます。
コメント欄・質問受付の案内
この記事に関するご質問や「こんなケースではどうする?」といった現場の声は、ぜひコメント欄でお寄せください。
- コメント欄は記事末尾に設置しています
- 改善要望は「次回アップデート予定」として反映していきます
32%と48%の違い
通常の占有率制限は32%です。
これは、電線の被覆を含む断面積の合計が、管の内断面積の32%を超えないようにするというもの。
この基準は、電気設備技術基準の解釈 第147条などに基づいており、安全性・施工性・熱対策の観点から定められています。
一方で、管の屈曲が少なく、電線の引き替えが容易な場合は、48%まで占有率を緩和できるとされています。
ただし、これはあくまで例外的な扱いであり、設計者の判断と現場状況の確認が必要です。