コメントをいただきました。
内線規程には、複数本のケーブルを同じ防護管に収める場合の占有率や、異種ケーブルをまとめる際の明確な規定がありません。
3165-1 に示されている「仕上がり外径の 1.5 倍以上」という基準も、あくまで ケーブル 1 条 を前提としたものです。
そのため、複数条を収める場合は、私は 束ねたときの外接円の直径を 1 本の外径とみなす 方法を採用しています。
そして、その外接円径に対して 1.5 倍以上の管内径 を確保するようにしています。
この考え方は、古河電工のエフレックス選定基準(JIS C 3653準拠)にも示されています。
「ケーブルが2条以上の場合は、ケーブルを集合した場合の外接円の直径の1.5倍以上とする」
通信ケーブルの場合の考慮
通信ケーブルは電力ケーブルと比べて曲げに弱く、入線時の抵抗も大きくなりがちです。
そのため、基準によっては 2 倍以上の余裕 を推奨しているものもあります。
実務的にも、1.5 倍ギリギリでは引き込みが難しくなることが多いため、余裕を持たせた管径選定 が安全です。
占積率との違い
絶縁電線のように「占積率(32%・40%)」で判断する方式とは異なり、ケーブルを防護管に収める場合には占積率の規定はありません。
ただし、実務では入線性を考慮し、占積率が高くなりすぎないように配慮することが一般的です。
メーカーの選定表でも、参考値として 32〜40%程度 が目安として示されています。
私自身の判断基準
自分の経験では、複数条のケーブルを防護管に収める際、次のように整理して判断しています。
- 規程上の根拠
→ 束ねたときの外接円径 × 1.5倍
(内線規程3165-1の「ケーブル1条」を複数条に拡張して扱う考え方) - 実務上の配慮(屋内配管)
→ 占積率40%程度に収まると入線が容易
(曲がりや摩擦の影響を受けにくく、引替えも現実的) - 外構・埋設配管の場合
→ 占積率30%以下だとさらに安心
(地盤の影響で配管が波打ったり、わずかに潰れて楕円になることが多く、その分だけ引き抵抗が増えるため、余裕を大きく取っておく方が安全) - 短くて直線の区間
→ 規程の注記どおり、多少タイトでも問題になりにくい
(引替えが容易で、曲がりによる抵抗がほぼ無いため)
複数条のケーブルを防護管に収める際の検討材料として、参考になれば幸いです。
占有率の計算
ケーブル外径:20 mm
防護管の必要内径:20 mm × 1.5 = 30 mm
占有率は
占有率= ケーブル断面積 ÷ 管の断面積
円の断面積は (π r^2) なので
- ケーブル断面積
[ π × 10^2 = 314 ] - 防護管断面積
[ π × 15^2 = 706.5 ]
占有率
[314 ÷ 706.5 ≒ 0.444 ] ⇒ [44.4% ]
外径20mmのケーブルを「1.5倍の防護管(内径30mm)」に入れた場合の占有率は約44%
複数本のケーブルを防護管に入れる場合の考え方
内線規程3165-1は「1条(1本)」を前提に『ケーブル仕上がり外径の1.5倍以上』と書かれています。
では、複数本のケーブルを同じ防護管に入れる場合はどう考えるのか。
外径20mmのケーブルを2本入れる場合
まず、20 mm ケーブルを 2 本並べたときの 外接円径 を求めます。
- 2本 → 横に並ぶ
外接円径 = 20mm × 2 = 40mm
必要な防護管内径
40 × 1.5 = 60mm
占有率も計算してみると
- ケーブル断面積(1本)
(π × 10^2 = 314) - 2本 → [ 314 × 2 = 628 ]
- 管(内径60mm)断面積
(π × 30^2 = 2827)
占有率
[ 628 ÷ 2827 = 0.222 ] ⇒ [ 22% ]
→ 外径 20 mm のケーブルを 1.5 倍の防護管(内径 60 mm) に 2 本入れた場合、占有率は約 22% となり、かなり余裕があります。
3本の場合(20mm × 3本)
外径 20 mm のケーブルを 3 本束ねる場合、3 本は正三角形状に並ぶため、まず 外接円径(3 本をすべて包む円の直径) を求めます。

3本は三角形状に並ぶので外接円径は
今回のケース(ケーブル外形20mm)
ケーブル3本が互いに接して並ぶので、
ケーブルの中心間距離(正三角形の一辺)は 20mm です。
正三角形の一辺の長さと高さの比率 [ 辺2:高√3 ]
三角形の高さ 20mm × √3 ÷ 2 ≒ 17.32mm

つまり
重心 → 底辺:高さの 1/3
頂点 → 重心:高さの 2/3
計算すると
・頂点 → 重心(外心)
[ 2 ÷ 3 × 17.32=11.55 mm ]
重心 → 底辺
[ 1 ÷ 3×17.32 = 5.77 mm ]
ケーブル外周まで含めた外接円の半径
ケーブル半径は 10mm なので
[ 11.55+10=21.55 mm ]
これは ケーブル3本を全部包む円の半径。
結論から言うと
- 3本束ねたときの外接円径(≒束全体の“見かけ外径”)をケーブル1本分の外径とみなして
- それに 1.5倍(電力) または 2倍(通信などのゆとり重視) を掛けて防護管の内径を決める、という考え方です。
まず束の「見かけ外径」を使う
外径20mmのケーブル3本を正三角形状に並べたときの外接円径は、すでに出した通り
[ 21.55 × 2 = 43.1 mm ]
これは「3本まとめて見たときの 束全体の外径」と考えて。
防護管選定の基準(ケーブルの場合)
日本の内線規程では、ケーブルを防護管に収める際、「ケーブル外径の 1.5 倍以上の管内径」 を確保することが基本とされています(ケーブルの場合の代表的な基準)。
通信系ケーブルや、より余裕を持たせたい場合には、2 倍程度を目安にするケース も実務ではよくあります。
今回の数値で防護管内径を出す
外径 20 mm のケーブルを 3 本束ねると、三角形状に並ぶため 束全体の外接円径は約 43 mm になります。
この 43 mm を「束の外径」とみなし、そこに 1.5 倍(電力)または 2 倍(通信)を掛けて防護管内径を決めます。
● 電力ケーブルとして考える(1.5 倍)
D=43.1 × 1.5 ≒ 64.7mm
● 通信ケーブルなどで余裕を見たい場合(2 倍)
D=43.1 × 2 ≒ 86.2mm
整理すると
外径20mmのケーブル3本を三角形状に束ねると、束全体の外接円径は約43mmになります。
この43mmを「束の外径」とみなし、防護管内径は
電力なら ×1.5倍以上(→約65mm以上)、通信などで余裕を見たいなら ×2倍以上(→約86mm以上) を目安に選定します。
まとめ
| ケーブル外径20mm | 外接円径 | 必要防護管内径(1.5倍) | 断面積ベース |
|---|---|---|---|
| 1本 | 20mm | 30mm | 約44% |
| 2本 | 40mm | 60mm | 約22% |
| 3本 | 約43mm | 約65mm | 約28% |
最後にまとめると
複数本のケーブルを防護管に収める場合、内線規程に明確な占有率の規定がない ため、次の 2つを分けて考える のが現実的です。
規程上の根拠として使うもの
- 束ねたときの外接円径 × 1.5倍以上
(内線規程3165-1の「ケーブル1条」を複数条に拡張して扱う考え方) - この方法は 古河電工エフレックス(JIS C 3653準拠) の選定基準にも示されている
→ https://www.furukawa.co.jp/eflex/
実務上の入線性として考えるもの
- 屋内配管 → 占積率40%程度
(曲がりや摩擦の影響が少なく、引替えも現実的) - 外構・埋設 → 占積率30%以下
(地盤の影響で配管が波打つ・潰れる・楕円になるため、余裕がないと通らなくなる) - 短くて直線 → 規程の注記どおり多少タイトでも可
(引替えが容易で、抵抗がほぼ増えないため)
結論
規程は「外接円径 × 1.5 倍」
実務は「占積率 40%(外構は 30%)」この 2 つを目安にすると、規程の整合性と入線性の両方でバランスの取れた選定 ができます。
最終的な選定は、内線規程の基準と現場の状況を合わせて判断するのが安全です。