「関数って難しそう…」「引数って何?」
そんなExcel初心者の方でも安心して使えるのが、単機能型関数です。
Excel関数の中でも、引数なしで使える「単機能型関数」は、業務効率化の第一歩として最適です。
TODAY関数で日付を自動取得したり、RAND関数でランダム抽選をしたり、シンプルながらも、他の関数と組み合わせることで現場の自動化・テンプレート化に大きく貢献します。
本記事では、代表的な単機能型関数とその活用例を、初心者にもわかりやすく解説します。
単機能型関数とは
かっこ内に何も入れずに使えるシンプルな関数のことです。
入力するだけで結果が返ってくるので、関数入門に最適です。「単機能型関数」という分類は公式なExcel用語ではなく、学習や整理のための便宜的な呼び方です。
そのため、引数があるかどうかは絶対条件ではなく、「1つの目的に特化しているか」が本質です。
引数とは?
「引数」という言葉は関数を理解するうえでとても重要ですが、初心者にとっては少しとっつきにくい概念でもあります。そこで、わかりやすい説明をお届けします。
関数に渡す『材料』や『情報』のことです。
Excel関数は「何かを計算したり、表示したりする命令」ですが、その命令を正しく動かすために必要な情報をかっこ内に指定するのが「引数」です。
たとえば料理に例えると…
- 関数:レシピ(=何を作るか)
- 引数:材料(=何を使うか)
=SUM(A1:A5)
この場合:
SUM
は「合計を出す」というレシピA1:A5
は「合計したい範囲」という材料(引数)
引数のある関数 vs 引数なしの関数
関数 | 引数 | 説明 |
---|---|---|
SUM(A1:A5) | A1:A5 | 合計する範囲を指定 |
IF(B1>100, "高い", "安い") | 条件・真・偽 | 条件に応じて表示を変える |
TODAY() | なし | 今日の日付を返す(材料不要) |
ポイント
- 引数は「関数に渡す情報」=かっこ内に入れる材料
- 関数によって「引数が必要なもの」と「不要なもの」がある
- TODAY関数のように「引数なし」で使える関数は、単機能型関数と呼ばれる
代表的な単機能型関数一覧
関数名 | 役割 | 使い方例 | 補足・ポイント |
---|---|---|---|
TODAY() | 今日の日付を返す | =TODAY() → 2025/09/28 | 日付のみ。時刻は含まれない |
NOW() | 現在の日時を返す | =NOW() → 2025/09/28 09:27 | 日付+時刻を返す |
RAND() | 0〜1の乱数を返す | =RAND() → 0.732 (例) | 再計算のたびに値が変わる |
PI() | 円周率を返す | =PI()*2 → 6.283 | 円周率(約3.14159)を返す |
TRUE() / FALSE() | 論理値を返す | =IF(TRUE(), "OK", "NG") → OK | 条件式の判定に使う |
NA() | #N/A エラーを返す | =NA() → #N/A | 実務ではあまり使わない |
ROW() | セルの行番号を返す | =ROW(A5) → 5 | 引数なしなら自セルの行番号 |
COLUMN() | セルの列番号を返す | =COLUMN(B2) → 2 | 引数なしなら自セルの列番号 |
これらはすべて「1つの目的に特化した、シンプルな動作をする関数」です。
他の関数と組み合わせることで、より柔軟な処理が可能になります。
TRUE / FALSE の使い方と補足
Excelでは、TRUE や FALSE は論理値(真・偽)として扱われます。
これらは 関数として使うこともできますが、かっこ(括弧)なしでも正しく動作します。
つまり、以下の2つはどちらも同じ意味で、正しく動作します:
使用例
式 | 結果 |
---|---|
=TRUE | TRUE |
=TRUE() | TRUE |
=FALSE | FALSE |
=FALSE() | FALSE |
補足ポイント
TRUE
やFALSE
は 論理値(Boolean) なので、Excelの内部では「定数」として扱われます- かっこを付けても付けなくても、結果はまったく同じです
IF()
やAND()
などの条件式に組み込むときも、どちらの書き方でもOKです
NA()
関数は、#N/A
エラーを返すだけの関数であり、実務での使用場面は限られています。INFO()
など一部の関数は環境依存や引数必須のため、単機能型とは言えない場合があります。
結論
実務で使える「引数なしの単機能型関数」は、以下の6つが中心です。
TODAY()
、NOW()
、RAND()
、PI()
、ROW()
、COLUMN()
これらはすべて、かっこ内に何も入れずに使えるシンプルな関数で、初心者でもすぐに試せるのが特徴です。
単体でも便利ですが、他の関数と組み合わせることで、業務効率化やテンプレート自動化に大きく貢献します。
Excelには何百もの関数がありますが、引数なしで使える「単機能型関数」は意外と少数派なんです。
なぜ少ないのか?
関数は基本的に「何をどうしたいか」を指定するため、引数(=材料や条件)を渡す必要があるものがほとんどです。
その中で、単機能型関数は「状況に応じて自動で判断してくれる」ような、システム依存・定数返却型の関数が中心になります。
単機能型関数の特徴
特徴 | 内容 |
---|---|
引数なしで使える | =TODAY() や =RAND() のようにシンプル |
覚えやすい | 初心者でもすぐに試せる |
自動更新されるものが多い | NOW() や RAND() は再計算で変化 |
単体では限定的 | 他の関数と組み合わせると真価を発揮 |
便利な使い方と応用例
TODAY() × 期限管理
=DATE(2025,10,5) - TODAY()
→ 期限まであと何日?
式の意味
この式は、「今日から2025年10月5日まで、あと何日あるか?」を計算しています。
分解してみましょう
DATE(2025,10,5)
→ 2025年10月5日という日付を生成TODAY()
→ 今日の日付(例:2025年9月28日)を取得DATE(...) - TODAY()
→ 未来の日付から今日の日付を引くことで、残り日数が求まる
具体例(2025年9月28日時点)
=DATE(2025,10,5) - TODAY()
→ 結果:7
つまり、「あと7日で2025年10月5日になる」という意味です。
活用シーン
- 期限までの残り日数を表示
- カウントダウン機能(残り○日)
- 条件付き書式で「期限が近いセルを色分け」など
ポイント
- この式は「日付の差分」をシリアル値で計算している
- 結果は「整数の残り日数」として返される
TODAY()
は毎日変わるので、自動で残り日数が更新される
※年・月・日を指定して日付を作る DATE()
関数については、こちらの記事で詳しく解説しています。
RAND() × 抽選・ランダム表示
=IF(RAND()>0.5, "当たり", "はずれ")
式の意味
RAND()
は 0以上1未満のランダムな数値を返します(例:0.732 や 0.248 など)RAND()>0.5
の条件が 真(TRUE)なら「当たり」、偽(FALSE)なら「はずれ」 を返します
結果の判定
RANDの値 | 判定 | 結果 |
---|---|---|
0.732 | TRUE | 当たり |
0.248 | FALSE | はずれ |
0.500 | FALSE | はずれ(※0.5は「超えてない」) |
応用アイデア
>0.7
にすれば「当たり確率30%」に変更可能=IF(RAND()<0.1, "大当たり", "はずれ")
で「10%の大当たり抽選」も可能
PI() × 円の計算
=PI()*A1^2
→ 半径A1の円の面積
式の意味
この式は、円の面積を求める計算式です。
Excelで「半径がA1セルに入っている円の面積」を求めたいときに使います。
分解してみましょう
PI()
→ 円周率(約3.14159)を返す関数A1
→ 半径の値が入っているセルA1^2
→ 半径の2乗(=半径 × 半径)PI()*A1^2
→ 円周率 × 半径² = 円の面積
具体例
A1の値(半径) | 式 | 結果(面積) |
---|---|---|
3 | =PI()*3^2 | 28.27433388・・・ (約28.27) |
5 | =PI()*5^2 | 78.53981634・・・ (約78.54) |
ポイント
^2
は「2乗」を意味する演算子(ExcelではA1*A1
でもOK)PI()
は引数なしの単機能型関数なので、覚えやすくて使いやすい- 図形の面積や円グラフの計算など、現場でもよく使われる式
注意点と補足
RAND()
やNOW()
は再計算のたびに値が変わるので、静的にしたい場合は「値貼り付け」がおすすめINFO()
は環境依存で、引数なしだとエラーになることもあるため注意
まとめ:まずは単機能型関数から始めよう!
単機能型関数は、Excel関数の第一歩として最適です。
まずは今日の日付や乱数など、身近な場面で使ってみましょう。
次は「関数を組み合わせて使う」ステップに進んでみてください!